自分が高校生の頃、というと、もう25年前にもなる。
25年にもなるのかあ。驚きよね、高校の同級生たちよ。
僕は福岡の『副都心』香椎にある県立高校に通っていた。
(町が名乗っている『自称』副都心なので、実態は田舎の中心地程度のもんである。)
松本清張の名作『点と線』の舞台として登場する土地であることで知られていて、それ以外では知られていない。
当時はCD販売の全盛期で、JR香椎駅の駅ビルの三階にある、全然大手じゃない街のCDショップに3年間、毎日のように友人と通った。
試聴機の上に設置されていたKula Shakerの宣伝用B4スタンドポップをさりげなくすみやかに持って帰って自分の部屋に飾りました。
そのCDショップでの思い出は、のちに大きく書き換えられることになるので、高校生の頃の思い出としては、そんな犯罪まがい(いや多分犯罪)のものか、何のCDを買ったのかくらいの記憶しかない。
OasisやFoo Fighters、そしてSilver Sunを買ったのもそこのショップだった。
最初は、家でMTVの「今月のパワープッシュ」みたいなコーナーで『Lava』が流れていたのを見たのだったと思う。
もう、まずは歌ってる人の黒ぶちメガネが印象的だった。
今でこそ、伊達メガネはおしゃれファッションのアイテムとして大きな地位を獲得しているが、当時はメガネの芸能人なんて全然いなくて、自分が思い出せるのは、このシルヴァーサンのVocal・James Broad(ジェームス・ブロード)か時東ぁみくらい。(いや、時東ぁみはもっとあとだな)
その上、なんか病弱そうで、かっこ悪くて、PVも変でふざけてて、そして流れてくる音楽は完全にかっこよかった。
そのショップでCDを買って、何度も聞いた。
セルフタイトルを冠したファーストアルバム『Silver Sun』は今でも、心のMYベスト10に入る名盤だ。
見た目通りのすこしなよっとしたヴォーカルと、ビーチボーイズを思わせるコーラスワークと、ヘビーに歪ませたギターサウンドが、僕には絶妙だった。
ギターの音の抜けなさと言ったら、ヒドい! SGとかホワイトファルコンとかをめちゃくちゃ歪ませてるから、もうブリブリいってます。でも、それもなんか味になってる。
メンバー全員、かっこよくない(わざとかっこつけてるけど)。
なんかメンバーに「Paul Smith」って居ますけど!
左はダチョウの肥後ちゃんかな? 肥後ちゃんはポールスミスじゃないよね?(確率1/3)
左から二番目は、出席番号が僕の一つ後ろの「大石君」じゃないよね? 大石君がポールスミスか?(確率1/3)
僕は、「女の子にキャーキャー言われてなさそう」なバンドが好きなのだ。いや実際は言われてるだろうけど。『なさそう』なところが大事で。
ギターポップ・ロックがとても流行った時期だったけど、彼らの音楽はむしろ時代と逆行しているように古臭く感じて、そこも好きだった。
UKバンドなのに、USっぽいギターポップで、多分本国ではあんまり受け入れられなかったんじゃ……、とも思う。
日本ではポリドールがCDを販売していたけれど、帯書きや歌詞カードも「売れてる」バンドではやらないような自由さが見えて、今見ると、なんか愛されてる人に売られているような感じがして、良い。
2ndアルバムの帯は、
『まだまだいける! ぐりぐりメガネ!』
だった。
僕の好きな、日本語で歌われた「Tokio E Ikitai(東京へ行きたい)」が収録されたB面集の帯は、
『東京だよ、シルヴァーサン!』
だった。元ネタ
歌詞カードのフォントは、なぜか僕が「恐怖文字」と呼んでいる、魔太郎が来る! か、うしろの百太郎にでも使われそうな字体で、
それでいて歌詞自体はもう全く深くなくて、
僕にとってシルヴァーサンは、本当に聞いてて、「Musicを聴いて楽しむ」それ以外のことを脳みそに強要しない、とても稀有な存在のバンドだった。
++++++
「だった」というのは、もうそれだけでなくなるかもしれないな、と、自分が今感じているのだ。
くだんの「Tokio E Ikitai」が無性に聞きたくなって(CDをなぜか無くした)、フリマサイトでそのB面集を見つけて購入したのが11月のはじめ(11/2)。
出品者の方に、購入連絡のついでに「急に聞きたくなっちゃって」みたいなコメントを送ったら、「ヴォーカル亡くなっちゃいましたね」という返事。
「え?」
という陳腐な自分の反応。
待ってよ、最近こんなのあったぞ、もう。
いそいでネットで調べると、10月末(10/30)にJames Broadが亡くなっていました。
ルックスのイメージだけじゃなくて、本当に病気になってて。
僕は25年前に買ったCDを、なんだかこのタイミングで購入した。彼がなくなって数日のタイミング。
多分買わなかったら、彼の訃報は、日本のネットニュースなんかではトップに上らないで知ることもなかったと思う。
知って良かったのか、知らなくてもよかったのかはわからないけど、知ったのが事実なんです。
そして今、音楽配信アプリで、彼らの音楽を聴いている。
やっぱり「何にも考えずに」というわけにはいかなくなっている。
でも今聞いてもやっぱり好きで、古く感じない。
20歳のころから40歳に見える人は、実際に40歳になった時に若く見えるような。(ちょっと違うかな)
でも、「逆行している」と感じた音楽は、周りが動いているからそう感じただけで、彼らはずっとぶれずに同じ音楽をやってたのだ、と今なら分かる。
最近EVHが亡くなって、SPOONのお客様の中にもファンがいらっしゃって、その方たちと故人を偲ぶ話をしたばかりでした。
これが年を取るということなんだよな、と思う。
最近は「人生の妙」を感じる出来事が多くなった気がするけど、今までがただ無視するように通り過ぎてただけかもしれない。
それに気づいていくのも年を取るということなのかも、とも思う。
25年前にこのCDを買った高校生の僕は、
その10年後に、CDと楽器を販売するそのショップで自分が10年間働くなんて、
そして、クーラシェイカーのPOPを持って帰ったことを直接お店の人に謝れる機会を持つなんて、
そんな事実を知ったら、何と言うかな。
……なーんて、かっこつけた文章書いてんじゃねーよ、と言うなあ、きっと、いつでも僕は。
SPOONの中のイマムラ (木曜日, 19 11月 2020 23:49)
ガリレオがリレーさん(なんちゅうHNや!)
コメントありがとうございます!
たまにでもまれにでもめったにでもありがとうございます!
いや、ほんと好きな曲を言い出せば、
DumbもWonderfulもHey girlfriendも17 timesもWhat she wantsもFacts of lifeもなんもかもいいんですが、それじゃ埒が明かないので、記念碑的な曲を選んでみました。
登録人数少ないですよね。四桁ってこたあないですよね。
自分も、Silver Sunお店で探してもなかなかないし、検索しても「Silversun pickups」ってなんか人気バンド出てくるし(聞いたことない)、フリマサイトで検索したら「SHAZNA」のアルバムばっかでてくるし、あんまりメジャーじゃない感はかんじていました。
日本語の曲を歌って企画盤を出すくらいでしたから、きっとJapanese Loveは彼にずっと届いていたと信じています。
コメントありがとうございました☆
もっと頻度を高く見てもらえるようなページにしていければと思っています!
ガリレオがリレー (木曜日, 19 11月 2020 22:37)
いつも(ごめんなさい、本当はたまにです。)ブログを拝見させてもらっています。SilverSunのボーカルが亡くなったということを、この記事で知りました。好きなバンドでしたので、ついコメント欄にコメントさせてもらいました。
私は、友達から『SilverSun』を教えてもらって聴き始めたのですが、当初の感想は、「何て古くさくて、ダサい!こりゃ全然好きじゃないな。」でした。
ところが、時間の経過とともに、ふとSilverSunを口ずさんでいる自分がいて、いつの間にか好きになっていたバンドでした。
私の中では、「嫌い」から「好き」という反動が一番大きなバンドであり、今では私の心のベストテンに入るほど好きなバンドです。
私は『SilverSun』のファンですが、『SilverSun』のファンなんて出会ったことが無いので、この記事を見て、『SilverSun』のファンがいるんだと驚いたところでした。
CDショップに行って、アーティスト別の立て札の中にSilverSunの立て札が無いのを見て、「そりゃ立て札無いよなぁ。」と思ったもんです。
私は『I'll see you around』や『There gose summer』、『Scared』などの曲が好きでしたねぇ。
私も音楽配信アプリをインストールしてますが、『SilverSun』の登録人数少ないですねぇ、私は好きなのに。
改めて『SilverSun』を聴くと、全然古くないですよねぇ、何かダサいのに。
『SilverSun』の新曲は出なくなるのは残念ですが、亡くなったボーカルには、「あなたのファンはここにちゃんといますよ」と伝えたいですね。